アラフォーゲイの子育て奮闘記

代理母出産で子供を授かったゲイ男子の育児日記

日本産科婦人科学会見解に対する反論

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日本では代理母出産は違法ではないけれど(実際に長野県にある諏訪マタニティークリニックで実施されている)、日本産科婦人科学会が下記のような見解を示しているため、ほぼ不可能な状態になっています。今日はそれについての自分の反論を書いてみます。

1)生まれてくる子の福祉を最優先するべきである
 児童の権利に関する条約(1989年国連総会採択)は,児童はあらゆる目的のための又はあらゆる形態の売買又は取引の対象とされてはならないと定めている(第35条).代理懐胎においては,依頼されて妊娠し子を産んだ代理母が,出産後に子を依頼者に引き渡すことになる.このこと自体,妊娠と出産により育まれる母と子の絆を無視するものであり子の福祉に反する.とくに,出産した女性が子の引渡しを拒否したり,また,子が依頼者の期待と異なっていた場合には依頼者が引き取らないなど,当事者が約束を守らないおそれも出てくる.そうなれば子の生活環境が著しく不安定になるだけでなく,子の精神発達過程において自己受容やアイデンティティーの確立が困難となり,本人に深い苦悩をもたらすであろう.

2)代理懐胎は身体的危険性・精神的負担を伴う
 代理懐胎は,妊娠・出産にともなう身体的・精神的負担を第三者たる女性に引き受けさせるものであって,人間の尊厳を危うくするものである.たとえ代理懐胎契約が十分な説明と同意に基づいたとしても,代理母が予期しなかった心理的葛藤,挫折感などをもたらしかねない.これらの観点からみれば代理懐胎は不妊治療の範囲を越えるものであり認め難い.

3)家族関係を複雑にする
 妊娠・出産した女性が子の母であることは世界的に広く認められ,わが国においても最高裁判決(昭37・4・27民集16巻7号1247頁)によってそのように認められており,さらに遠くない将来,その旨の明文規定が置かれるものと思われる.そうなると代理懐胎契約は家族関係を複雑にし,社会秩序に無用な摩擦や混乱をもたらす.

4)代理懐胎契約は倫理的に社会全体が許容していると認められない
 代理懐胎契約は,有償であれば母体の商品化,児童の売買又は取引を認めることに通じ,無償であっても代理母心理的に,又は身体的に隷属状態に置くなどの理由により,公序良俗民法90条)に反するという見解が有力である.代理懐胎契約が認められるためには,これらの理由に論拠がないことが示され,さらに,倫理的観点から社会全体の許容度が高まらなければならないが,現状ではこれらの条件は整っていない.
また,現在の状態のまま放置されれば営利を目的として代理懐胎の斡旋をする者又は機関が出現し,経済的に弱い立場にある女性を搾取の対象とし,ひいては実質的に児童の売買といえる事態が生じかねないので代理懐胎の斡旋についても禁止する.

 1)適切な契約の下に行われた代理母出産であれば親権を明確にできる法整備を進めれば、引き渡しや引き取り拒否を防げる。また、子の「自己受容やアイデンティティーの確立が困難」を影響する要因は他にもいくらでもあり、代理母出産に特有なものではない。

2)どの妊娠にも「身体的・精神的負担」や「予期しなかった心理的葛藤,挫折感」を伴うリスクは十分にある。事前の医療検査や精神鑑定を義務図けるなど適性なガイドラインを設けることで、「身体的・精神的負担」を軽減することはできる。

3)生殖補助医療が急速に発達してきたのはこの十数年の話で、それまで長い間「妊娠・出産した女性が子の母であることは世界的に広く認められ」てきたのは当然のこと。これまで男女間に限定されていた結婚という概念もLGBTの認知度が上がるにつれ変わってきている。また、「家族関係を複雑にし,社会秩序に無用な摩擦や混乱をもたらす」要因は他にも沢山あるし、代理母出産がそれを助長するというデータがあるわけでもない。

4)については総論賛成。ただし、だからといって代理母出産を違法にするのではなく、適切な議論を重ねていく必要がある。この見解が発表されたのは2003年。「社会全体の許容度」もそれから変化しているはずである。

みなさんはどう思いますか。