前回紹介したケースマネージャーよりも登場するのは遅れますが、サロ活が終わった後も連絡を取り続ける可能性もあるという意味では、一番付き合いが長くなるのは代理母です。代理母は、サロガシーエージェントの募集広告を見て応募する人がほとんどで、身体検査の他に身辺調査や家庭訪問など厳しい審査を通って初めて代理母候補者になることができます。
代理母に関してよく受ける質問が、「彼女たちはお金目当てでやってるんですか?」です。代理出産を売春と同列で捉えて、女性搾取だと息巻く方もいらっしゃるんですが、アメリカでの代理出産においてはそういうことはほとんどありません。なぜなら、生活保護を受けていたり借金のあるような経済状況の人は審査初期段階で落とされ、経済的に自立している人しか代理母になることができない仕組みになっているからです。また、子供を産んで育てた経験が必須条件に含まれていて、出産経験があるけど、養子に出してしまったような場合は子育てにカウントされません。
では何故代理母になるのか。代理母によって理由が様々ですが、不妊症の友人や親戚が身近にいて、同じような悩みを抱える人を助けたいと考えている代理母が多いようです。ちょっと変わったところだと、出産が好きだからという代理母もいました。12人の子供を産んだ助産師のHISAKOさんも、出産を繰り返す度にその喜びが増えていくというような発言をされていましたけど、そうした出産ハイみたいなものがあるのかもしれませんね。
勿論経済的な動機が皆無だとは言いません。代理母も決して聖人ではないですからね。でも代理出産に対する補償金は数百万円程度と、一部の人が想像されているほど高額ではありません。約1年不便な生活を強いられたり、出産に関わる身体的リスクを取るにしては、あまりにも少ない額ですから、それだけを目的に代理出産しようというのは考えにくいのです。
エージェントにもよりますが、審査通過率はほんの数パーセントという狭き門です。最近では、代理出産を検討するIPが増えてきたこともあり、供給が需要に追いつかず、年々マッチングにかかる時間が長くなってきているようです。日本人IPの場合には、子供の親権の観点から未婚女性をリクエストすることになると思いますが、そうなると更にマッチングに時間を要することが予想されます。
IPの条件に合った代理母候補が見つかると、スカイプによる顔合わせや精神カウンセラーによる面談が設定され、関係者全員がOKを出したらようやくマッチング成功となります。エージェントと契約を結んでからマッチング成功までにかかる平均時間はエージェントによっても異なりますが、自分の場合、途中何度かマッチングが不成功に終わったので、最終的には15ヶ月かかりました。他のIPと比べても長かったと思います。