アラフォーゲイの子育て奮闘記

代理母出産で子供を授かったゲイ男子の育児日記

トラディショナルサロガシー(前編)

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ようやくサロガシーの折り返し地点に差し掛かってきたのと、最近サロガシーについての質問が増えてきたことから、備忘録も兼ねてサロガシーについてまとめてみることにしました。これからサロガシーを考えている方の参考になれば幸いです。

ますは「サロガシーの種類」についてお話していこうと思います。サロガシーは2種類に大別できて、①Traditional Surrogacyと②Gestational Surrogacyがあります。簡単に言うと①は代理母卵子を使い、②は代理母の子宮に別の女性(卵子ドナー)の卵子を使った胚を移植するやり方です。

前者は「トラディショナル」と言う名前の通り、以前まではサロガシーの主流でした。ところが、代理母は生物学的な母でもあるので、妊娠中に子供に情が湧いてしまい、引き渡しの際にトラブルになることがありました。1番有名なのが1987年に起きた「ベイビーM」ですね。

これはアメリカのニュージャージー州で起こった事件で、IP夫婦の夫であるウィリアム・スターン氏の精子代理母のメリー・ベス・ホワイトヘッドさんの卵子を人工授精して子供ができました。当初の契約では、ホワイトヘッドさんが親権を放棄して、スターン夫妻の子供になるはずだったのですが、出産後子供を引き渡した後に、ホワイトヘッドさんが子供の親権を要求して誘拐してしまったことから、訴訟に発展しました。

ニュージャージー州最高裁は1度はホワイトヘッドさんの要求を却下するものの、後にその判決が無効となり、ホワイトヘッドさんには子供と面会することのできる訪問権が与えられました。

1988年にアメリカの三大テレビ局のひとつABCが「ベイビーM」事件をドラマ化した番組がYouTubeに上がっているので、そちらも参考にしてみてください。

法典よりも先例を重視するコモン・ローを採用しているアメリカにとってこの判決は非常に大きな意味を持っていて、「ベイビーM」事件後もこの判決が先例となって、代理出産契約が無効と判断されるケースが出てきました。これはトラディショナルサロガシーに限らず、後述するジェスティショナルサロガシーにも適用されうることなので、注意が必要です。

ニュージャージーは今でこそ代理母契約が有効と認められ、アメリカの中で最もサロガシー・フレンドリーな州の1つとなりましたが、ルイジアナ州のように(契約書が存在したとしても)代理母に親権を認める州も未だに存在していますから、どの州で代理出産をするのかはサロ活をする上で非常に重要ですし、法律に詳しいエージェントや経験豊かなサロガシー弁護士を選ぶことも極めて重要になってきます。